ライブラリー リエバナ 8月の展示内容お知らせ
ヨーロッパ中世の彩色写本のファクシミリ版を展示しているライブラリーリエバナです。
8月度の展示のお知らせです。
7月に引き続き今月も別の写本で黙示録の四騎士の描かれ方を見てみたいと思います。いずれも12世紀から13世紀に制作された写本で、ベアトゥスの写本群の中では遅い時期に当たります。
(1)ベルリン写本
12世紀にイタリア中部で制作されたと思われる写本で、イベリア半島以外で制作された数少ない写本です。 縦302×横190と比較的小型の写本に55点の挿絵が描かれています。他のベアトゥス写本と違い、細いペン画が主体でところどころ薄い黄色や茶色・赤色で彩色されています。
(2)リスボン写本
1189年にポルトガルで制作された縦345×横245の中型サイズの写本で、88点の挿絵が描かれています。なんと言ってもその特徴は挿絵の地に使われた蛍光色の黄色とオレンジ色です。その古式な描き方から、ベアトゥスの元の原稿に近い古い写本から移されたのかもしれません。
(3)ウェルガス写本
ベアトゥス写本の中でも1220年というアローヨ写本に次ぐ遅い時期に製作された縦520×横364と最も大型の写本。
ヨハネの黙示録に関する約70点の挿絵とダニエル書の聖ヒエロニムスによる解説に伴う10点の挿絵を含む 全112点の挿絵が描かれています。ベアトゥス写本では珍しく、系図の中に創世記やマギの崇拝が描かれ、また東方三賢王の礼拝や荘厳のキリスト(マイエスタス・ドミニ)、エルサレム破壊における攻防などの場面、伝道者たちの肖像などが描かれています。
(4)アローヨ写本
アローヨ写本は現存する挿絵入りのベアトゥス写本群の中では最も新しい作(13世紀前半と考えられる)で、10世紀から続く伝統を保持しながらも、随所に新構想や新図像が認められる。12世紀後半以降の後期ベアトゥス写本グループの中で、ライランズ写本、カルディーニャ写本、ウェルガス写本の3冊と特に関連が深い。
大きさも縦440×横305と大型で、大桶の注文ということもあり金箔・銀箔が多数使用された豪華な写本です。
その他に、最初期の挿絵入り黙示録写本のトリーア黙示録写本(Trierer Apokalypse) や 、ベリー候の所有していた時祷書で有名な「大時祷書」と「美しき時祷書」を展示します。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。
尚、8月は19時まで開店しています。(開店日はカレンダーで確認してください)