ライブラリー リエバナ 7月の展示内容お知らせ
ヨーロッパ中世の彩色写本のファクシミリ版を展示しているライブラリーリエバナです。
7月度の展示のお知らせです。
今月は黙示録の中でもよくでてくる四騎士の描かれ方を見てみたいと思います。
四騎士とは4つの封印を解くと馬に乗って現れる者たちで、白い馬に乗る「征服者」、剣を持ち、赤い馬に乗る「戦争」、天秤を持ち、黒い馬に乗る「飢饉」、青白い馬に乗りハデス(黄泉)を従える「死」が現れ人間に災いをもたらします。一般的に四騎士と呼ぶことが多いですが、聖書の原典には「騎士」に相当する単語は記されておらず、そのため日本語訳聖書も「それ(馬)に乗っている者」(新改訳)「それにまたがった者」(フランシスコ会訳)という訳語になっています。
ベアトゥスは白い馬の乗る第一の騎士を他の三騎士と区別して解釈しています。ベアトゥスによれば、この馬は「教会」で、それにまたがるものはキリストである。キリストは昇天し、その後人々の元に現れ、そして精霊を送った。キリストの精霊の一吹きが、説教者たちの霊感を満たしたのである。その言葉は、弓矢のように人々の心を射抜いた。勝利の冠はこれらの説教者たちに捧げられる、と解釈された。(ベアトゥス黙示録註解書 ファクンドゥス写本 ホアキン・ジャルサ・ルアセス 安發和彰訳より)
①ウルジェイ写本の4騎士 Ⅱ群aの標準的な描き方です。青白い馬(右下の馬)はハデスを従えています。
②サン・スヴェール写本 Ⅰ群に属する写本。見開きに描かれているのが特徴でハデスを従えていません。
③オスーマ写本 これもⅠ群の写本で、やはりハデスは描かれていません。
④マンチェスター写本(ライランズ写本) Ⅱ群bに属する写本。ハデスが描かれていますが、4騎士のほかに4つの生き物(4福音書記者)も描かれています(Ⅰ群のサン・スヴェール写本にも描かれています)。
その他に、道徳写本(Bible Moralisée(Codex Vindobonensis 2554) や 新約聖書写本(Vat. Lat. 39)、絵解き聖書である「貧者の聖書」に黙示録が追加された大型の写本(Weimar Biblia Pauperum/Apocalypse)も展示します。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。