ベアトゥス写本は、8世紀後半の修道士ベアトゥスがスペイン北部のリエバナの修道院で「黙示録の注解書」を著わしましたのが元になります。これが評判となり各地で写本が制作され、その中で挿絵が書かれるようになった模様です。注解書の内容は特に目新しいものでもなかったようで、黙示録に対する教父の注解を付け加えたもので、現在では挿絵で有名になっています。
現在残されている挿絵入り写本は、断簡を含めて最近まで26点であったが、2007年にジュネーブ図書館への寄贈書の中からベアトゥス写本が発見され(ジュネーブ写本)、現在は27点となっています。(John Williamsの著作ベース)
ベアトゥス黙示祿の挿絵が簡単に見れる本として「オレたちに明日はない?」があります。黙示祿の内容をイラストと一緒にベアトゥス写本や黙示祿写本の挿絵と軽い文章で解説しています。Amazonでも購入可能ですし、Yahooオクにも出てきます。
本格的なものでは、John Williamsが編纂した5巻本のCorpusに全写本の挿絵が白黒ですがまとめられています。ベアトゥス写本は色使いに非常に特徴があるのでカラーでないのは残念ですが、すべてをまとめて見ることができるのはこれしかありません。
ベアトゥス写本のファクシミリが見れる図書館
やっぱり国会図書館が一番です。閲覧は誰でも可能ですが、地方から見に行くのは難しい。(私は2回しか行ってません) 全部で9点所蔵。(番号は請求番号です)
アローヨ写本 (YP51-A736)
モーガン写本 (YP51-A760)
エル・エスコリアル写本 (YP51-A782)
トリノ写本 (YP51-A783)
オスマ写本 (YP51-A786)
ウルジェイ写本 (YP51-A787)
マンチェスター写本 (YP51-A788)
ヴァルカバド写本 (YP51-B9)
コゴーリャ写本 (YP51-B59)
ヴァルカバド写本は2002年版のファクシミリで他のもほとんどが本格的なファクシミリ版でした。国会図書館にはベアトゥス写本以外にも多数のファクシミリ本を所蔵しています。その一部が下記の資料に解説・紹介されています。
そのほか 東京都立図書館がアローヨ写本を所蔵しています。ここは、岩波書店が刊行したファクシミリ本をほぼ全部?持っています。さすが都立です。お金持ちですね。閲覧は普通に見せてくれます。コピーを頼んだら、原本ではないので一般書扱いでのどまで開いてしっかりコピーしてもらえました。自分の本ではとてもできません。
あとは早稲田大学や慶応大・神奈川大・清泉大・明治大などの私立大学が所蔵しているようですが、立教大学が11点の写本を所蔵しています。ジュネーブ写本のファクシミリ版を所蔵しているのが特徴です。キリスト教主義学校(ミッションスクール)ということもあり、写本の授業も行われていてうらやましい限りです。残念ながら大学関係者しか閲覧はむつかしそうです。それにしても立教大学の図書館は立派です。一度訪問してみたいものです。
もし公立図書館で所蔵されているところをご存知でしたらご紹介ください。
ここでは手元にあるファクシミリ版18点を中心に紹介をしたいと思います。