11月の展示の紹介です
11月の展示写本の紹介です。
11月は金銀で彩色された豪華な写本を紹介します。
王家や貴族が発注した写本には非常豪華なものがあります。また、中世後期になると裕福な市民(商人)がその裕福さを示すために豪華な時祷書などの写本を作りました。
今回はベアトゥス写本群から4点の写本と、聖書や時祷書から4点を展示します。
【1】ベアトゥス写本:ファクンドス写本
別名「フェルナンド1世と王妃サンチャの写本」といわれるように王室の依頼で製作された写本で、金・銀・紫がふんだんに使用された豪華な挿絵が98点描かれています。大きさはそれほど大きくはないですが、全312葉に書かれていて、ベアトゥス写本群の中では一番大部な写本です。
【2】ベアトゥス写本:カルデーニャ写本
製作者は不明ですが、豪華で美しい細密画が51点残されています。大きさも縦445×横300と大きな部類の写本です。
【3】ベアトゥス写本:ラス ウェルガス写本
Las Huelgasの王立修道院で製作された縦520×横364とベアトゥス写本群の中で最も大きな写本です。
【4】ベアトゥス写本:アローヨ写本
アローヨ写本もラス ウェルガス写本同様、王家の注文によって制作され、シトー会女子修道院サン アンドレス デ アローヨ修道院に献呈されたと考えられている写本で、金箔や銀箔が随所に使用された豪華な写本です。(アローヨ写本 解説 辻佐保子、安發和彰 参照)
大きさも縦440×横305と、カルデーニャ写本とほぼ同じ大きな写本です。
【5】トリニティ黙示録写本
13世紀半ばに英仏で流行した黙示録の中でも特異な位置にある黙示録。当時の写本としては大判(435×320)の写本で、豪華絢爛に彩色されていることから、高貴な身分の人に献呈されたと考えられる。(Apocalypse Anglo-Normande 大高順雄 より)
【6】道徳聖書(教訓聖書)
道徳的な教育のために造られた絵本のようなもので、もっとも有名な挿絵は一番最初に描かれている神の絵で、カオスから円形の宇宙を設計するためにコンパスを使用している創造主神の絵です。
それ以外のページは、聖書の物語が各ページに8つの図(円形のメダリオン)として描かれ、2列4弾で構成され、各図の横にその内容を説明するテキストが書かれています。(「世界で最も美しい装飾写本」田中久美子及び「西洋中世の彩色写本 ファクシミリ展」より)
【7】ヴィスコンティ時祷書
この写本はミラノ公ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(1351-1402)の注文で、民間の裕福な人のために写本が作られた時代の、個人的な時祷書の典型的な例です。(「世界で最も美しい装飾写本」田中久美子より)
【8】ローアン時祷書
この写本はアラゴンのヨランデ(アラゴンのファン1世の娘)アンジュー侯爵夫人が制作を委託したと考えられます。彼女はジャンヌ・ダルクの強力な支持者でした。
挿絵の図像は「ナポリ聖書絵本」からのコピーや、やベリー公の「いとも豪華なる時祷書」「美しき時祷書」からの構図やモティーフの借用が見られます。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(旧市民ギャラリー前)です。 外階段から降りてください。ぜひお越しください。