3月の展示紹介
3月はベアトゥス黙示録写本群のなかで10世紀後半から12世紀に製作された4冊の写本を展示します。 あわせて、13世紀から14世紀に英仏で流行した黙示録写本3冊を展示します。
(1)【サン・スヴェール写本】
ベアトゥス写本の中で唯一ピレネー山脈を越えたフランスの修道院で制作された写本。
挿絵は2頁大の挿絵が5点、全頁大が36点あります。
(2)【サン・ミジャン(コゴーリャ)写本】
途中まで10世紀後半に書かれ、その後200年近く中断された後12世紀第1四半期に制作が再開された写本。
そのために49点の挿絵がありますが、前半はモサラベ様式の画風で、後半はロマネスク様式となり、挿絵の画風が大きく変わっています。
(3)【ナバーラ写本】
12世紀後半にナバーラ地方のラリオハ地方のアストルガで作られたと考えられています。
挿絵の一番の特徴は、なんといっても地に使われている紫色です。
(4)【リスボン写本】
この写本は他の大半のベアトゥス写本とは異なり、1189年にポルトガルで制作されました。この写本はポルトガルでのもっとも初期の写本の一つです。
特徴は挿絵の地に使われた蛍光色の黄色とオレンジ色です。
(5)【トリニティ黙示録写本】
13世紀半ばに英仏で流行した黙示録の中でも特異な位置にある黙示録。当時の写本としては大判(435×320)の写本。
(6)【ゲッティ黙示録写本】
13世紀から流行した英仏黙示録の一つ。
41葉の上半分に彩色挿絵が描かれ、下半分に黒インクで黙示録本文が、赤インクでベレンガウドゥスの註解書が書かれています。
(7)【クロイスター黙示録写本】
13世紀から流行した英仏黙示録の後期にあたる1330年にフランスノルマンディーで作られた写本。