5月の展示紹介
5月はベアトゥス黙示録写本群のなかで10世紀半ば・11世紀・12世紀の各年代に製作された写本4冊を展示します。
合わせて15世紀に製作された時祷書写本2冊を展示します。
(1)マドリード写本
最初期のベアトゥス写本で、挿絵に囲みがなく淡い色彩で描かれています。
(2)トリノ写本
975年に製作されたベアトゥス写本ジローナ本を、12世紀のカタルーニャで写したものとみられる。ただし挿絵は12世紀風にアレンジされている。
(3)シロス写本
濃い色彩で細かな文様がちりばめられています。
(4)ファクンドゥス写本
13世紀に制作されたラス ウェルガス写本を除くと、修道院ではなく王室の依頼で制作された唯一のベアトゥス写本です。金・銀・紫がふんだんに使用され、豪華な挿絵が98点描かれています。
(5)Catherine of Cleves時祷書
この写本は1440年頃にオランダの匿名の芸術家によって作成されたようです。周縁部の装飾や挿絵にはゴシック様式の華やかさと同時に、不思議なもにの溢れています。
(6)ヴィスコンティ時祷書
ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(1351-1402)の注文で、ジョヴァンニーニョ・デ・グラッシとベルベッロ・ダ・パヴィアという2人の画家が手掛けたものです。
民間の裕福な人のために写本が作られた時代の、個人的な時祷書の典型的な例です。