ライブラリー リエバナ 9月の展示内容お知らせ
ヨーロッパ中世の彩色写本のファクシミリ版を展示しているライブラリーリエバナです。
9月度の展示のお知らせです。
9月はベアトゥスの写本に描かれている世界地図を見比べてみたいと思います。残存するベアトゥスの完本写本22冊のうち14冊の写本に世界地図が描かれています。黙示録には出てこない世界地図がなぜ描かれているのかよくわかりませんが、どうも註解書のなかで述べられている使徒についての解説の中で、「世界地図」は使徒たちが伝道し、教会を創設すべき「地上の全世界」を示しているようです。 地図の形態は、7世紀の神学者イシドールスの「語源論」に描かれている当時使われていた著しく簡略化された世界地図(TO図)の系統です。
9月は下記の5冊を展示します。
【モーガン写本】
マドリード写本と並んで一番初期の10世紀中頃(940-945?)に制作された完本写本。
【バルカバド写本】
970年6月から9月にかけて、レオン王国(スペイン北部)のバルカバード修道院にて製作された。
モーガン写本と同系統の写本。
【サン・スヴェール写本】
ベアトゥス写本の中で唯一ピレネー山脈を越えたフランスの修道院で11世紀後半に制作された写本。
モサラベ様式の中にロマネスク様式がまざった挿絵が見られる。
【オスマ写本】
ファクンドス写本より少し遅れて1086年に完成した写本で、すでにロマネスク様式が入りつつあったのがさらに進んでいる挿絵の様式です。
【ナバーラ写本】
12世紀後半にナバーラ地方のラリオハ地方のアストルガで作られたと考えられています。
挿絵の一番の特徴は、なんといっても地に使われている紫色です。
ロマネスク様式を色濃く残しています。
同時に15世紀前半にドイツ又はイタリアで制作されたと考えられる「プトレマイオス世界図」も展示します。プトレマイオス自身が作成した地図は失われましたが、150年頃に著された「地理学」に当時の様々な場所(約8000か所)の座標情報が記されており、「地理学」が1300年頃に再評価された際、その座標情報を使いプトレマイオスの世界図を再構成することができました。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。