ライブラリー リエバナ 8月の展示案内
遅くなりましたが、8月の展示内容のお知らせです。
【今月のBeatus写本】
①モーガン写本
10世紀半ば(940年頃?)にスペイン北部、レオン州の修道院で制作された。マドリード写本とともに最初期の彩色挿絵写本。写字・挿絵はマギウスが制作。後ろ書きに自著している。303葉残っており、もとは1冊であったが、今は2冊に分けて製本されている。挿絵の数は89点。モサラベ様式で描かれた挿絵はフレームに収められているものが大多数で、ベアトゥス写本群の挿絵の描き方の基本となった画期的な写本。全頁大に加え見開きにわたる挿絵もある。
②マドリード写本
10世紀半ばころ(930-950頃)にレオン州で制作されたと推定。こちらは写字生の名前は不明。損傷・脱落が多く141葉の羊皮紙に27点の挿絵が残っている。モーガン写本と違い挿絵にフレームがない描かれ方をしている。
【今月のBeatus写本挿絵】
今回は毛塚実江子先生が書かれた「鳥と蛇の戦い」を参考に、4写本に描かれた「鳥と蛇」の挿絵を紹介します。
【黙示録写本】
カロリング朝様式で書かれた挿絵入り黙示録写本で最古の2写本を紹介します。
①トリーア黙示録写本(Trier Apocalypse)
800年頃制作された、挿絵入り黙示録写本で一番古い残存する写本。75葉の羊皮紙に74の挿絵が全頁大でカロリング朝様式で描かれています。
テキストはラテン語で書かれていますが、11世紀終わり頃に多数のテキストが書き直されています。
②バランシエンヌ写本 (Valenciennes Apocalypse)
9世紀初頭(第1四半期)にフランスあるいはドイツで制作されたカロリングスタイルの黙示録写本。
42葉の羊皮紙に38の全頁大挿し絵が描かれています。
【彩色写本紹介】
今回はイギリスで製作された詩編写本2点を紹介します。
当時の詩編写本(Psalter)は、キリスト教で『旧約聖書』の「詩編」、教会暦、聖人への祈りなどを内容とする分厚い書物で、中世の終わりごろに『時祷書』(時課経)が正式に現れるまで、おもに教会や修道院や富裕者や初心者がその日およびその時間の礼拝で具体的に何を歌い、祈るかに使われたもので、綺麗に挿絵が施されているのが常でした。(Wikipediaより)
①ラットレル詩編
1325年~1340年にイギリス北部のラットレル卿が制作した詩編写本。350×245の大きさで309葉の羊皮紙に描かれた大部の写本。中世の生活とともに、人間の頭と動物や鳥などの体が組み合された想像上の怪物が多数描かれている。
②マックルズフィールド詩編
1330-1340年頃のイギリス東部で制作された写本で、豪華に彩色されています。 大きさは170×108㎜という小型の縦長ですが、252葉の羊皮紙に美しく彩色され、ラットレル詩編同様に挿絵にはハイブリッド怪物とともに擬人化された動物や中世の生活が描かれています。
最後の所有者、マックルズフィールド伯爵にちなんで命名されています。
豊田市のVITS豊田タウン地下1階(市民ギャラリー前)のライブラリー リエバナにて、日曜日11:00~17:30に開館しています。
ぜひお越しください。