ライブラリー リエバナ 7月の展示
7月のライブラリー リエバナの展示内容のお知らせです。
4月~6月で一通りのベアトゥス写本を展示しましたので、しばらくは以下のように展示をしていこうと考えています。
【1】今月のBeatus写本 ・・毎月1写本~2写本ずつファクシミリ本を展示
【2】今月のBeatus写本挿絵 ・・同一テーマの挿絵が各写本でどのように描かれているかを紹介
【3】Beatus写本以外の黙示録写本 ・・毎月2~3冊の写本を紹介
【4】彩色写本の紹介 ・・ヨーロッパ中世に作成された彩色写本を毎月2~3冊づつ紹介
7月の展示内容ですが、最近Cardena(カルデーニャ)写本を入手することができたので、それをご紹介したいと思っています。
カルデーニャ写本は1175年~85年にスペイン北部のブルゴス近くのカルデーニャにあるサン ペドロ修道院で制作されました。
縦445㎜幅300㎜とアローヨ写本とほぼ同じ大きさで、145葉に51点の挿絵が描かれています。挿絵は本来もっと多かったものですが、切り取られている部分が結構あります。
盗難にあったこともあるのでしょうか切り取られたページがあちらこちらに保管されていて、主要部分(127葉)はマドリードのアルケオロギコ国立博物館が所蔵していますが、そのほか フランシスコ・デ・ザバーブル・イ・バサベ図書館(2葉)、ディオチェサ美術館(1葉) メトロポリタン美術館(15葉)の3か所に分散されて所蔵されています。
今回のファクシミリ版はそれらすべてを集めて制作されました。通常は一緒に見ることができない挿絵を一緒に見ることができる唯一の機会です。
7月の展示はカルデーニャ写本を含めて以下を予定しています。中世の彩色写本の世界を楽しめます。ぜひお越しください。
【1】カルデーニャ写本とライランズ(マンチェスター)写本
ほぼ同時期に制作された2つの写本を比べてください。同系統に属する写本なので同じような構図の挿絵もありますが、それぞれに違ったイメージの挿絵ももちろんあります。
【2】今月のBeatus写本挿絵
今回はキリストの登場場面を比較します。雲に乗って現れるのですが、雲のイメージの仕方にいろいろパーターンがあります。
【3】Beatus写本以外の黙示録写本
今回は1250年前後にイギリスやフランスで制作された3冊の黙示録を紹介します。
(1)トリニティ黙示録(MS.R.16.2 ) 大型の豪華な写本
(2)ドゥース黙示録 (Douce 180) 書きかけの部分があり、挿絵がどういう手順で書かれていたかがわかる珍しい写本
(3)パリ黙示録 (Ms.Français 403) 淡い彩色の写本
【4】彩色写本の紹介
今回は中世の写本蒐集家(芸術愛好家)として有名なベリー公が制作した時祷書を3冊紹介します。
ベリー公ジャン1世(Jean Ier, 1340年11月30日 – 1416年3月15日)の領地はフランス中部サントル地方、首都はブールジュで、ロワール川と森の素晴らしいところのようです。写本の一部はベリー公の死後に完成されたものもあります。
①ベリー公の豪華時祷書(Les Très Riches Heures du Duc de Berry) 名前の通り豪華なことで有名な写本です。きっとどこかで目にしていることがある時祷書です。
②ベリー公のうるわしき時祷書(Les Belles Heures du Duc de Berry) 小型の時祷書ですが172の挿絵が描かれています。
③ベリー公の大時祷書(Grandes Heures du Duc de Berry) 400㎜×300㎜と大型の時祷書です。
時祷書・・時祷(禱)書(じとうしょ、ラテン語: horae, 英語: primer, book of hours)は、現存するものの中ではもっとも多く存在している中世装飾写本である。内容はそれぞれ異なっているが、祈祷文や詩編を集成し、内容に合わせた挿絵をつけて、ローマ・カトリック教会のキリスト教徒としての信仰・礼拝の手引きとして編集したものである。(Wikipediaより)
毎日曜日にライブラリーを開館しています。ぜひお越しください。