7月の展示の紹介です

先月に続き小説『 薔薇の名前 』の表紙や、映画の中に出てきたベアトゥスの黙示録註解書写本『ファクンドス写本』を展示します。
また今月はベアトゥス写本のなかでも少し毛色の変わった挿絵が見られる写本を中心に展示します。

 240624 7月展示案内

ファクンドゥス写本以外の写本の紹介です。

【サン・スヴェール写本】
ベアトゥス写本の中で唯一ピレネー山脈を越えたフランスの修道院で制作された写本。
挿絵は2頁大の挿絵が5点、全頁大が36点で総数102点の挿絵が描かれています。
ファクンドゥス写本を代表とする主なベアトゥス写本とは、人物や怪物の描き方や建物の描き方はかなり違っています。

【オスーマ写本】
ファクンドゥス写本より少し遅れて完成した写本ですが、挿絵の描き方 特に色彩の使い方は大きく異なります。
挿絵は濃い赤や黄と共にエメラルドグリーンや薄青の背景色が特徴です。特にエメラルドグリーンは他に例を見ない美しい色調です。

【リスボン写本】
この写本は他の大半のベアトゥス写本とは異なり、1189年にポルトガルで制作されました。この写本はポルトガルでのもっとも初期の写本の一つです。

なんと言ってもその特徴は挿絵の地に使われた蛍光色の黄色とオレンジ色です。その古式な描き方から、ベアトゥスの元の原稿に近い古い写本から移されたのかもしれません。


【ナバーラ写本】
12世紀後半にナバーラ地方のラリオハ地方のアストルガで作られたと考えられています。
挿絵の一番の特徴は、なんといっても地に使われている紫色です。
12世紀末に作られましたが、その図像は10世紀末に作られたエスコリアル写本に近く、註解テキストも最初のバージョンで書かれています。

【ベルリン写本】
イベリア半島以外で制作された数少ない写本の一つで、12世紀のイタリア中部で制作されたと思われます。
55点の挿絵は他のベアトゥス写本とは違い、細いペン画が主体で、ところどころ薄い黄色や茶色・赤色で彩色されています。

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です