2月の展示の紹介です

2月の展示写本の紹介です。

2月は中世前期に描かれた黙示録写本を中心にみていただきます。
10世紀後半にスペインで製作された4点のベアトゥス黙示録写本と、ベアトゥス黙示録写本群と同時期、11世紀初頭のオットー朝のドイツで製作された黙示録写本1点を展示します。

(1)コゴーリャ写本(Cogolla codex)   途中まで10世紀半ばに書かれ、その後200年近く中断された後12世紀第1四半期に制作が再開された写本。
そのために49点の挿絵がありますが、前半はモサラベ様式の画風で、後半はロマネスク様式となり、挿絵の画風が大きく変わっています。

下図は 10世紀に書かれた挿絵です。

   

下図は12世紀に書かれた挿絵です。

同じ写本のなかでこれだけ違う画風の挿絵が描かれるのも珍しいと思います。

(2)ウルジェイ写本 (Urgell Codex)  10世紀後半にスペイン北部のアストゥリアス東部で作られた。ロマネスク様式のモサラベ風の90の彩色挿絵が描かれています。

     

(3)エスコリアル写本  エスコリアル写本は950年頃にサン・ミジャン・デ・ラ・コドーリャ修道院で制作されました。ここではほぼ同時期にいくつものベアトゥス写本が制作されました。
マドリード写本とほぼ同じ大きさで、151葉に52点の挿絵が描かれています。マドリード写本ほどではないが、明らかな切り取り跡が4か所あるのは残念です。また、挿絵がページ端で途切れている絵もあることから、もとはもう少し大きかったものを裁断したと思われます。

  

(4)ジローナ写本  1月に引き続きの展示です。114点の挿絵はほぼ完全な姿で残っており、写本の大きさも縦が約400 ㎜ もあり、12 世紀以降に制作されたマンチェスター写本などを除けばウルジェイ写本と並び当時最大の写本でした。

写本の最後の署名から、976 年7 月6 日におそらくタバラの修道院で完成しました。

  

(5)バンベルク写本 バンベルク黙示録は、1000年頃にボーデン湖畔のライヒェナウ島にあるベネディクト会修道院の修道士が、980年から1002年まで神聖ローマ皇帝オットー3世の要請を受けて作成し、後に「聖人」として知られる後継者ヘンリー2世の命令で完成させた写本です。
295 x 205 mmの106のフォリオに、57の挿絵はほとんどフルページの大きさで、すべて金で装飾された豪華な彩色写本です。

  

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(旧市民ギャラリー前)です。 外階段から降りてください。ぜひお越しください。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

前の記事

1月の展示の紹介です

次の記事

3月の展示の紹介です