ライブラリー リエバナ 4月の展示内容お知らせ

ヨーロッパ中世の彩色写本をファクシミリ版を中心に展示しているライブラリーリエバナです。

4月度の展示のお知らせです。

230402 4月展示案内

今月は、ベアトゥス写本群のなかで、系統Ⅰ群の新版に分類されている写本2点と系統Ⅱ群aに分類されている写本3点を展示します。
(大野松彦作図 P.K.クラインに基づく翻案図より)

【マドリード写本】10世紀半ば頃の写本。切り取られた挿絵が多く、27点の挿絵が残るのみ。挿絵はフレームのない状態で描かれており、Beatus写本の初期の姿と思われる。また全ページ大の挿絵も残されたものにはありません。

【サン・スヴェール写本】唯一ピレネー山脈を越えたフランスの修道院で1028-72年の間に制作された写本。 2頁大の挿絵が5点、全頁大が36点あります。
モサラベ様式の中にロマネスク様式がまざった挿絵が見られる。例えば新エルサレム(f. 207-f. 208)では建物全体はモサラベ写本のように正方形で構成されていますが、アーチは馬蹄形ではなく半円形のアーチが描かれています。

【モーガン写本】マドリード写本と並んで一番初期の完本写本。
もともとは1冊であったが、19世紀以来の木製カバーと装丁が弱っていたのを、1990年から1992年にかけてモーガン図書館が修理して2分冊としました。

マドリード写本は枠取りのない挿絵が主であったが、モーガン写本では挿絵に枠取りをして、画面の地を幾つかの帯状色面で抽象的に処理する手法は、輝くばかりの色彩効果や破綻なく図像をまとめ上げる構図上の機能などにおいて、以降の写本の手本になったといえる写本です。
(参考:安發和徹モーガン図書館のベアトゥス写本挿絵《天上のエルサレム》について)

【サン・ミジャン写本 (コゴーリャ写本)】 途中まで10世紀半ばに書かれ、その後200年近く中断された後12世紀第1四半期に制作が再開された写本。そのために49点の挿絵がありますが、前半はモサラベ様式の画風で、後半はロマネスク様式となり、挿絵の画風が大きく変わっています。

【ウルジェイ写本】10世紀後半にスペイン北部のアストゥリアス東部で作られた写本。 章の見出しには、遊び心のある表示大文字が使用されます。 これは、少し前のバルカバード写本のスタイルと図像を参照しています。羊皮紙の質の悪さは、それが修道院での使用の為に作られたことを示唆しています。

4月はほかに 14世紀初頭の聖書絵本「ホルカム聖書」と、13世紀前半に南イタリアでヴェネツィアの貴族ゾルツィ家のために製作されたと推測される新約聖書「Vat. Lat. 39」を展示します。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(旧市民ギャラリー前)です。 外階段から降りてください。ぜひお越しください。

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