ライブラリー リエバナ 7月の展示内容お知らせ

ヨーロッパ中世の彩色写本をファクシミリ版を中心に展示しているライブラリーリエバナです。

7月度の展示のお知らせです。

今月も、ベアトゥス写本群の前後の時代の挿絵入り黙示録写本も一緒に展示し、黙示録写本の大きな流れを見てみたいと思います。

『黙示録』写本の中で、とりわけ重要な3つの系譜があります。
それらは4、5世紀に誕生し、9、10世紀まで盛んに制作された初期中世黙示録写本群と、
9世紀から13世紀にかけて興隆したベアトゥス黙示録写本群、
そして13世紀にイギリスに端を発する英仏『黙示録』群です。
それぞれ際立った特徴をもつこれらの黙示録写本をひもとくならば、中世の美術の流れを一望することができます。
(田中久美子「世界でもっとも美しい装飾写本」より)

先月に続きそれぞれの時代の代表的な写本を展示します。

【ベアトゥス黙示録写本以前の黙示録写本】

(ヴァランシエンヌ黙示録写本)
9世紀初頭(第1四半期)にフランスあるいはドイツで制作されたカロリングスタイルの黙示録写本で、トリーア黙示録写本とともに残存する最初期の挿絵入り黙示録写本。


(バンベルグ黙示録写本)
制作は11世紀初頭とベアトゥス黙示録写本の制作時期と重なりますが、オットー3世が制作を依頼した金色の地が特徴の豪華写本で、現存する唯一の挿絵入りオットー黙示録写本です。 挿絵は立体感のないフラットな書き方が特徴で、ベアトゥス写本群とはまったく異なった作風です。

【ベアトゥス黙示録写本以後の黙示録写本】

(ゲッティ黙示録写本)
13世紀から流行した英仏黙示録の一つ。 41葉の上半分に彩色挿絵が描かれ、下半分に黒インクで黙示録本文が、赤インクでベレンガウドゥスの註解書が書かれています。

(パリ黙示録写本)
13世紀に突如流行となった英仏黙示録の初期の写本。オリジナルは展示本の約1.5倍の大きさになる。
黙示録前後のヨハネの生涯部分は2段構成の全ページ挿絵、黙示録本文は半頁大挿絵を上部に配している。

(モーガン写本)
モーガン写本では挿絵に枠取りをして、画面の地を幾つかの帯状色面で抽象的に処理する手法は、輝くばかりの色彩効果や破綻なく図像をまとめ上げる構図上の機能などにおいて、以降の写本の手本になったといえる写本。

(コゴーリャ写本)
途中まで10世紀半ばに書かれ、その後200年近く中断された後12世紀第1四半期に制作が再開された写本。
そのために49点の挿絵がありますが、前半はモサラベ様式の画風で、後半はロマネスク様式となり、挿絵の画風が大きく変わっています。

(ファクンドゥス写本)
13世紀に制作されたラス ウェルガス写本とともに、修道院ではなく王室の依頼で制作された唯一のベアトゥス写本です。
金・銀・紫がふんだんに使用され、豪華な挿絵が98点描かれています。

(ウェルガス写本)
1220年という最も遅い時期に制作された最も大型の写本。
ヨハネの黙示録に関する約70点の挿絵とダニエル書の聖ヒエロニムスによる解説に伴う10点の挿絵を含む。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(旧市民ギャラリー前)です。 外階段から降りてください。ぜひ一度お越しください。

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