ライブラリー リエバナ 6月の展示内容お知らせ

ヨーロッパ中世の彩色写本をファクシミリ版を中心に展示しているライブラリーリエバナです。

6月度の展示のお知らせです。

    230528 6月展示案内

今月は、ベアトゥス写本群の前後の時代の挿絵入り黙示録写本も一緒に展示し、黙示録写本の大きな流れを見てみたいと思います。

『黙示録』写本の中で、とりわけ重要な3つの系譜があります。
それらは4、5世紀に誕生し、9、10世紀まで盛んに制作された初期中世黙示録写本群と、
9世紀から13世紀にかけて興隆したベアトゥス黙示録写本群、
そして13世紀にイギリスに端を発する英仏『黙示録』群です。
それぞれ際立った特徴をもつこれらの黙示録写本をひもとくならば、中世の美術の流れを一望することができます。
(田中久美子「世界でもっとも美しい装飾写本」より)

今月と来月はそれぞれの時代の代表的な写本を展示します。

【ベアトゥス黙示録写本以前の黙示録写本】
(トリーア黙示録写本)
9紀初期(800年頃)制作された、挿絵入り黙示録写本で残存する一番古い写本。75葉の羊皮紙に74の挿絵が全頁大でカロリング朝様式で描かれています。

(ヴァランシエンヌ黙示録写本)
9世紀初頭(第1四半期)にフランスあるいはドイツで制作されたカロリングスタイルの黙示録写本で、トリーア黙示録写本とともに残存する最初期の挿絵入り黙示録写本。

【ベアトゥス黙示録写本以後の黙示録写本】
(トリニティ黙示録写本)
13世紀半ばに英仏で流行した黙示録の中でも特異な位置にある黙示録。当時の写本としては大判(435×320)の写本で、豪華絢爛に彩色されていることから、高貴な身分の人に献呈されたと考えられる。

(ドゥース黙示録写本)
13世紀から14世紀に英仏で多く作られた黙示録写本の系統の一つです。
未完の写本のため、彩色途中の挿絵が多数あり、当時の彩色手順などがよくわかる写本です。

【ベアトゥス黙示録写本群から】 

(エスコリアル写本)
950年頃にサン・ミジャン・デ・ラ・コドーリャ修道院で制作されました。ここではほぼ同時期にいくつものベアトゥス写本が制作されました。青や赤はあまり使用されず、代わりに黄色や泥がかった茶色・ダークグリーンが使われています。

(ジローナ写本)
写本の最後の署名から、976年7月6日におそらくタバラの修道院で完成しました。挿画はエメテリウス(タバラ写本も制作)とエンが行いました。エンは女性名で修道女と考えられます。

(サン・スヴェール写本)
ベアトゥス写本の中で唯一ピレネー山脈を越えたフランスの修道院で制作された写本。11世紀中頃の作品。
挿絵は2頁大の挿絵が5点、全頁大が36点あります。
モサラベ様式の中にロマネスク様式がまざった挿絵が見られる。

(ライランズ写本)
ほぼ完全な状態で保存されてきた数少ない写本です。後期‎‎カロリング文字‎が2列に書かれ、110点の挿絵が金銀で鮮やかに彩られています。12世紀後半の写本で、ベアトゥッス差本群のなかでは後期の大型写本。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(旧市民ギャラリー前)です。 外階段から降りてください。ぜひお越しください。

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